「最近よく吐く」「ごはんを残すようになった」
このように猫の吐く回数が増えている場合や、食欲がない状態が続いている場合には、胃腸の不調だけでなく、肝臓や胆道の病気が隠れていることがあります。そのひとつが急性肝不全です。
当院でも、吐く・食べない・元気がないといった変化をきっかけに、急性肝不全や胆管肝炎が見つかったケースがありました。
また、こうした病気によって食欲が落ちたり、脱水が進んだりすると、便秘を伴うこともあります。
今回は、猫が吐く・食欲がないときに考えられる原因と、急性肝不全の症状、見逃されやすい便秘との関係、動物病院で行う検査について解説します。

■目次
1.猫が吐く・食欲がない原因|胃腸以外の病気も視野に
2.急性肝不全とは|猫でみられる症状と注意点
3.急性肝不全と便秘の関係|猫の便秘に気づくために
4.動物病院で行う検査|原因を特定するために必要なこと
5.まとめ|猫の「吐く・食欲がない」は早めにご相談ください
猫が吐く・食欲がない原因|胃腸以外の病気も視野に
猫が吐いたり食欲が落ちたりする原因はさまざまです。身近なものとしては、次のようなケースが挙げられます。
・毛づくろいで飲み込んだ毛玉
・一時的な胃腸炎
・フードの変更
・おもちゃやひもなどの誤食
・便秘
一方で、全身の病気の症状のひとつとして、嘔吐や食欲不振が表れることもあります。
・腎臓病
・膵炎
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症
・肝臓や胆道の病気
1回吐いたあと、すぐにいつもどおり食べて元気に過ごしているのであれば、急いで受診しなくてもよい場合があります。
しかし、嘔吐と食欲不振が同時にみられ、それが続いている場合は、原因を調べる必要があります。吐いた回数や食べた量を控えたうえで、動物病院へご相談ください。
急性肝不全とは|猫でみられる症状と注意点
肝臓は、栄養を蓄えたり、体に不要な物質を分解したり、消化を助ける胆汁をつくったりする臓器です。急性肝不全は、この肝臓の働きが短い期間で大きく低下し、全身の状態に影響が及ぶ状態を指します。
猫では、肝臓と胆管に炎症が起こる胆管肝炎や、胆汁の流れが滞る病気など、肝臓と胆道に関わる病気が肝機能の低下につながることがあります。
また、猫は食べない状態が続くと肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが落ちる肝リピドーシスを引き起こす危険性もあります。
「肝臓の病気によって食欲が落ち、食べられない状態が続き、さらに肝機能が低下する」という悪循環を防ぐためにも、食欲の変化に早く気づくことが大切です。
<急性肝不全でみられる主な症状>
急性肝不全では、主に次のような変化がみられます。
✓ よく吐く
✓ 食欲がない
✓ 元気がなく、寝ている時間が長い
✓ 体重が落ちる
✓ 白目や耳の内側、歯茎が黄色っぽく見える
✓ ふらつく、反応が鈍くなる、けいれんする
白目や歯茎が黄色く見える変化は黄疸と呼ばれ、肝臓や胆道の異常を示すサインのひとつです。ただし、黄疸はすべての猫でみられるわけではありません。
肝臓は「沈黙の臓器」とされ、働きが落ちても初期には目立った症状が表れないことがあります。
急性肝不全は進行が早い場合があり、気づいたときには食事をほとんど受け付けなくなっていることもあります。嘔吐と食欲不振が続いているときは、早めに動物病院へご相談ください。
急性肝不全と便秘の関係|猫の便秘に気づくために
急性肝不全をはじめとする肝臓・胆道の病気では、食欲の低下や脱水がみられることがあります。こうした変化が重なると、便秘につながる場合もあります。
肝機能の低下に限らず猫の便秘は比較的よくみられ、飼い主様が気づかないうちに便秘が続いていることもあります。
次のような様子は、便秘に気づくためのサインです。
・トイレで踏ん張っているのに便が出ない
・食欲が落ちている
・吐く回数が増えている
・お腹を触ると硬い、ぽっこりしている
・便が小さく硬い、出る回数が少ない
トイレで踏ん張っているようにみえても、実際には尿が出ていないケースがあります。尿道に結石などが詰まって尿が出なくなる状態は、短い時間で命に関わることがあるため、速やかに動物病院へ連絡し、受診してください。
便と尿のどちらが出ていないのか分からない場合のご相談も当院では受け付けています。
動物病院で行う検査|原因を特定するために必要なこと
猫が吐く・食欲がない原因を調べるため、動物病院では問診と身体検査から始め、猫の状態に応じて必要な検査を組み合わせます。
問診:吐いた回数や吐いたものの様子、食欲の変化、便と尿の状態、体重の変化、フードの内容、誤食の可能性などを伺います。
身体検査:脱水の程度や黄疸の有無、お腹の張りや痛み、全身の状態を確認します。
血液検査:肝臓の数値に加えて、炎症の程度や腎臓の数値、血糖値、電解質などを調べます。肝臓以外の病気が隠れていないかを確かめるためにも重要な検査です。
画像検査:レントゲン検査や超音波検査で、腸にたまった便や異物の有無、肝臓・胆のう・胆管の状態を確認します。
検査結果によっては、追加の検査を行ったうえで治療方針を検討します。
急性肝不全が疑われる場合は、原因に応じた治療とともに、点滴による脱水の補正や吐き気を抑える治療、栄養の補給などを検討します。
重症の場合は入院管理が必要になることもあります。
<猫にやさしい宇都宮市のさかきばら動物病院>
宇都宮市若草のさかきばら動物病院では、猫が落ち着いて受診できるよう、犬との接触を避ける待合室の工夫や、猫の習性に配慮した「キャットフレンドリー」な診察と環境づくりに取り組んでいます。
体調を崩している猫にとっては、通院や検査そのものが負担になる場合も少なくありません。猫の様子を確認しながら、通院時の負担をできるだけ抑えて必要な検査を進めることを大切にしています。
「キャットフレンドリー」の取り組みについては、こちらをご覧ください
まとめ|猫の「吐く・食欲がない」は早めにご相談ください
猫がよく吐く、食欲がないといった状態が続くときは、胃腸の不調だけでなく、急性肝不全をはじめとする肝臓や胆道の病気が隠れていることがあります。
こうした病気に伴う食欲の低下や脱水が、便秘につながることもあります。猫の便秘は飼い主様が気づきにくいため、気をつけて愛猫の変化をみてあげましょう。
当院では、猫の苦痛や体への負担にも配慮した診療を心がけています。そのうえで、その子の状態に合った治療や、ご家庭での過ごし方を飼い主様と一緒に考えていきます。
愛猫の嘔吐や食欲不振、便秘が気になる飼い主様は、お気軽にご相談ください。
栃木県宇都宮市にある『さかきばら動物病院』
当日の診療受付はこちらから