犬の慢性腎不全┃徐々に進行する怖い病気

腎不全とは、腎機能が低下し、腎臓がうまく働かなくなる状態のことを指し、様々な原因により腎臓にダメージが加わることで発症すると言われています。腎不全には、腎機能が急激に低下する「急性腎不全」と、数か月から数年かけて腎臓の機能が徐々に失われていく「慢性腎不全」の2種類があります。特に、慢性腎臓病は一度発症すると完治できないため、早期発見と適切な管理が鍵となります。

そこで今回は、慢性腎不全の原因、症状、治療方法などについて解説していきます。

慢性腎不全の症状

慢性腎不全は、数か月から数年かけて徐々に進行するため、初期段階では症状がほとんどみられず、見過ごされがちです。しかし、腎機能が低下するにつれて、以下のような症状が現れ始めます。

〈初期症状〉
・多飲多尿
・食欲不振
・体重減少
・口臭  など

〈進行した症状〉
・嘔吐
・下痢
・ぐったりとした様子  など

慢性腎不全の原因

慢性腎不全には様々な原因があります。最も一般的なのは、老化による自然な腎機能の低下ですが、遺伝的要因、感染症、腫瘍、または腎臓に直接的な損傷を与える薬物や毒素の摂取など、他の多くの要因が病気の発症に寄与することがあります。

また、糖尿病や高血圧といった他の病気が、長期間にわたって腎臓に負担をかけて腎機能を低下させることもあります。

診断方法

以下の検査を行って診断をします。

血液検査
腎機能の指標である血中のクレアチニンや尿素窒素(BUN)レベルを測定します。

尿検査
尿比重やタンパクの漏出を確認し、これによって腎臓の損傷の有無や程度を評価します。

X線検査や超音波検査
腎臓のサイズや構造の異常、腫瘍はないかなどを確認します。

治療方法

慢性腎不全は、完全な治癒は難しいため、治療の目的は症状の軽減と進行を遅らせ愛犬の生活の質を向上させることが大切です。

食事療法
腎臓に負担をかけない特別な食事が推奨されます。これには、低タンパク、低リン、かつ高品質なタンパク質を含む食事が含まれます。

薬物療法
毛細血管拡張剤や降圧剤、リン・タンパク吸着剤などの投与を行います。

点滴治療
全身状態が悪い場合は入院下での静脈点滴を行います。
状態が落ち着いていて維持期の場合では、通院での皮下点滴を定期的に行う場合もあります。

慢性腎不全はステージによって通院のペースは異なりますが、1ヶ月に1回の頻度で来院していただき、定期的な診察・治療を続けてもらうことが大切です。

ご家庭での注意点

慢性腎不全は老化によって徐々に進行する病気のため、完全に予防することは難しいです。

しかし、普段からご自宅での飲水量や食欲の変化に注意し、普段と異なる日が続いた場合は、動物病院を受診するようにしましょう

また、症状がなくても血液検査を含む定期的な健康診断を受けることで、早期発見・早期治療ができる病気です。

まとめ

慢性腎不全は、一度発症すると腎臓の機能を元に戻すことができない病気です。
愛犬の様子が少しでもおかしいと感じたら早めに動物病院を受診することをおすすめします。

気になる症状が愛犬にみられたら、当院までお気軽にご相談ください。
特に宇都宮市のなかでも「若草、宝木、細谷、駒生」にお住まいの患者様から多くご来院いただいております。

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