愛犬の顔が突然腫れると、虫に刺されたのか、どこかにぶつけたのかと考える飼い主様も多いかもしれません。
見た目の変化が大きく、驚いて動物病院を受診される方もいらっしゃるでしょう。
しかし犬の顔の腫れは原因が皮膚ではなく、歯にあるケースもあるのです。
歯の根の先に細菌感染が起こり、膿がたまる状態を根尖膿瘍(こんせんのうよう)といいます。たまった膿が皮膚を押し破ると、目の下に穴が開いたように見えることがあります。
早い段階で原因となる歯がわかれば、痛みをやわらげる対応と、状態に応じた処置を行いやすくなります。
今回は、犬の顔の腫れや目の下の穴に表れる根尖膿瘍について、気づきたいサインと動物病院で行う検査・治療、再発防止のヒントを解説します。

■目次
1.犬の顔が腫れる・目の下に穴が開く主な原因
2.根尖膿瘍で見られやすいサイン
3.動物病院で行う検査と治療|抜歯が必要になることも
4.根尖膿瘍を繰り返さないために|日ごろの歯科口腔ケア
5.まとめ|犬の顔の腫れは歯からのサインかもしれない
犬の顔が腫れる・目の下に穴が開く主な原因
犬の根尖膿瘍は、歯の内部に細菌が入り込み、歯の根の先に炎症や感染が起こる病気です。進行すると膿がたまり、特に上あごの奥歯では、目の下や頬の腫れ、皮膚からの出血や排膿として表れることがあります。
そのため、皮膚や目のトラブルだと思われていた症状の原因が、口の中にあったというケースも見られます。
原因のひとつとして挙げられる「歯周病」が進むと、歯ぐきの内側で炎症が広がり、歯を支える組織が少しずつ壊れていきます。その先にある歯の根の周囲まで細菌が達すると、歯根周囲まで感染が及ぶことがあります。
また、硬いおやつやおもちゃを強く噛んだ拍子に歯が欠け、内部の神経が通る部分が露出すると、そこから細菌が入り込むことも考えられます。
ただし、顔の腫れが起こる原因は根尖膿瘍だけではありません。皮膚のしこりや外傷、腫瘍などでも似た見た目になるため、腫れの位置や広がり方、口の中の状態まで確認しないと原因は判断できません。
歯周病と口臭については、こちらをご覧ください
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根尖膿瘍で見られやすいサイン
ご家庭では、次のような変化に注意してください。
✓ 目の下や頬が腫れている
✓ 目の下の皮膚に穴が開き、血や膿が出る
✓ 口臭が強くなった
✓ 歯石が多い、歯ぐきが赤い
✓ 硬いものを食べたがらない、片側だけで噛む
✓ 口元を触られるのを嫌がる
✓ 元気や食欲が落ちている
根尖膿瘍の腫れは片側だけに表れることが多く、左右を見比べると違いに気づきやすくなります。「目の下がふくらんで見える」「まぶたが持ち上がって見える」といった変化から、受診につながるケースもあります。
犬は口の痛みがあっても、痛みを我慢して食べていることもあります。「食べているから大丈夫」と判断せず、噛み方や口元を触ったときの反応もあわせて確認しましょう。
皮膚に開いた穴は、膿が排出されると一時的にふさがることがあります。しかし原因となる歯の内部や歯根の先端付近に感染・炎症が残っていると、しばらくして同じ場所が再び腫れる恐れがあります。一度治ったように見えても、原因の歯を確かめておくことが大切です。
動物病院で行う検査と治療|抜歯が必要になることも
診察ではまず腫れの位置や硬さ、皮膚の状態を確認し、口の中を見て歯の破折や歯石の付き具合、歯ぐきの炎症を調べます。
口の中を詳しく調べる検査や歯科処置は、原則として全身麻酔下で行います。麻酔前には全身状態を確認し、それぞれの状態に合わせて麻酔計画を立てます。麻酔下で口の中を詳しく確認すると、残せる歯と処置が必要な歯を見極めやすくなります。
必要に応じてレントゲン検査などを行い、歯の根の先や周囲の骨にどこまで影響が及んでいるかを評価します。歯根の先端周囲の骨(歯槽骨)が溶けていないか、ほかの歯にも同じような変化が起きていないかを確認するためです。
痛みに対する治療として、感染が周囲組織へ広がっている場合や全身症状を伴う場合などには、状態に応じて抗菌薬を使用します。ただし、抗菌薬だけでは感染した歯の内部を治療できないため、原因歯に対する抜歯などの処置が必要です。
腫れが引いた時点で治療を終えると、同じ症状を繰り返すことがあるため、原因の歯へアプローチすることが、再発リスクを抑えるうえで重要です。
<さかきばら動物病院の「根尖膿瘍」診療>
宇都宮市若草のさかきばら動物病院では、顔の腫れの原因が歯にあるのか、皮膚や腫瘍によるものなのかを確認したうえで、考えられる原因や必要な処置について飼い主様にわかりやすくご説明いたします。
治療の進め方は、犬の年齢や全身の状態、ご家庭からの通院のしやすさなどを考慮しながら、無理のない方法を一緒に検討していきます。麻酔が必要な場合も、年齢や持病、検査結果、処置の必要性を踏まえたうえで、それぞれに合わせた計画を相談しながら決めていくことが可能です。
「腫瘍の可能性も含めてチェックしてほしい」「高齢で麻酔が不安だけれど、できることはある?」といったご相談も、お気軽にお聞かせください。
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根尖膿瘍を繰り返さないために|日ごろの歯科口腔ケア
根尖膿瘍の背景には、歯周病の進行や歯の破折など、様々な原因があります。
歯周病の進行を抑えるために行う手段のひとつであるスケーリングは、付着した歯石を取り除く歯科処置です。歯石が多い、口臭が強い、歯ぐきが赤いといった変化がある場合は、顔の腫れなどの症状が表れる前の段階でぜひお早めにご相談ください。
また、定期的な口腔チェックは口腔内の変化に早く気づくきっかけになります。歯石の付き方や歯ぐきの状態は、歯の診療以外であっても確認できます。予防接種や健康診断で来院された際にあわせて口腔チェックを行うこともおすすめです。
ご家庭での歯みがきや予防が難しいという飼い主様もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、以下のように様々なアプローチでお口の健康を守る工夫ができます。
・口元に触れられることに慣れるところから少しずつ始める
・歯ブラシが難しい場合は、ガーゼや指サックを使う
・歯に強い負担がかかるほど硬いものを噛ませない
・おもちゃやおやつは、硬さや噛み方に注意して選ぶ
当院では、愛犬の性格や生活に合わせた方法をご提案しますので、遠慮なくお尋ねください。
まとめ|犬の顔の腫れは歯からのサインかもしれない
犬の顔が腫れる、目の下に穴が開く、血や膿が出るといった症状には、歯の根が化膿する根尖膿瘍が関わっている場合があります。見た目は皮膚のトラブルでも、原因が口の中にあることは珍しくありません。
顔の腫れや皮膚の穴は、見た目が落ち着くと受診の機会を逃しやすい症状でもあります。皮膚の症状だけで判断せず、歯根やその周囲の骨まで確認しておくことが、痛みの軽減と再発の予防につながります。
当院では、犬の顔の腫れや目の下の穴、口臭や歯石についてのご相談を承っています。愛犬のお顔やお口に気になる様子があれば当院へご相談ください。
栃木県宇都宮市にある『さかきばら動物病院』
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