犬や猫の体をなでているときに「小さなイボのようなものがある」「前より大きくなっている気がする」と気づくことがあります。
イボに見えるふくらみの原因は、一時的な皮膚炎や良性腫瘍とは限りません。中には悪性腫瘍が隠れているケースもあるため、早めの動物病院受診をおすすめします。
この記事では、犬や猫にできるイボ・できものの主な原因、注意したい見た目や変化、受診前に確認しておきたいポイント、動物病院で行う検査や治療の考え方について解説します。

■目次
1.犬や猫のイボとは?|良性に見えるできものにも注意が必要
2.イボを見つけたときのチェックポイント|写真と記録が診断の手がかりに
3.動物病院で行う検査|見た目ではなく細胞や組織で判断する
4.犬や猫のイボの治療|経過観察・内科治療・手術をどう選ぶか
5.まとめ|犬や猫のイボは、変化に気づいた段階で相談を
犬や猫のイボとは?|良性に見えるできものにも注意が必要
「イボ」は、飼い主様が見た目から表現する言葉としてよく使われます。
ただし、動物病院で診察すると、実際にはさまざまな皮膚の変化や腫瘍が含まれます。
たとえば、乳頭腫、皮脂腺の変化、嚢胞、炎症性のできもの、脂肪腫などは、見た目としてイボやしこりのように感じられるかもしれません。
また、肥満細胞腫、扁平上皮癌、メラノーマなどの悪性腫瘍が、初期には小さなイボのように見える場合もあります。
<良性の可能性が高いイボの特徴例>
一般的には「体にただちに悪影響を与えないイボである可能性が高い」と考えられるイボの特徴例です。
・小さく、ゆっくり大きくなる
・皮膚と同じ色に近い
・痛みや出血がない
・長期間あまり変化がない
ただし、これらに当てはまるからといって、必ず良性とは言い切れません。
<悪性腫瘍を疑いたいイボの特徴例>
また、次のような変化がある場合は、悪性腫瘍や強い炎症が隠れている恐れがあります。
・数日から数週間で大きくなる
・赤い、黒い、ただれている
・出血する、膿が出る
・触ると痛がる
・口の中、まぶた、足先、肛門周囲などにできている
小さいできものでも、発生した場所や増え方によっては詳しい検査が必要になります。「今の大きさ」だけで判断せず、大きさ・形・色・痛み・出血の有無を見ながら、変化のスピードの確認が大切です。
イボを見つけたときのチェックポイント|写真と記録が診断の手がかりに
犬や猫の体にイボのようなものを見つけたときは、早めに動物病院で確認できると安心です。
自己判断で取ったり、つぶしたり、市販薬を塗ったりしないでください。刺激によって炎症が悪化することがあり、診察時に本来の状態が分かりにくくなる場合もあります。
受診前には、次の点を確認しておくと診断の参考になります。
・いつ気づいたか
・どの部位にあるか
・大きさは何mm程度か
・色は皮膚色、赤色、黒色、白っぽい色のどれに近いか
・表面はなめらかか、ザラザラしているか、ただれているか
・犬や猫がなめる、かく、こすりつける様子があるか
写真で記録しておくのも有効です。できれば同じ角度で撮影し、大きさが分かるように定規や硬貨を近くに置くと、変化を比べやすくなります。
毛に隠れている場所は、無理に毛を引っ張らず、見える範囲で記録しましょう。
<「イボ」を見つけた時の受診のサイン>
早めの受診を考えたいサインとしては、以下のような変化が挙げられます。
✓ 短期間で大きくなる
✓ 出血や化膿がある
✓ においがする
✓ 触られるのを嫌がる
✓ 元気や食欲の低下を伴う
✓ 同じようなイボが複数増えてきた
「様子を見る」としても、期間を決めずに放置するのは避けたいところです。数日から数週間で変化がある場合は、写真やメモを持参して動物病院に相談しましょう。
<「経過観察」と言われた場合は?セカンドオピニオンも検討を>
他院で受診した際に「経過観察でよい」と説明を受けた場合でも、不安が残ることがあります。その際は、次の点を確認しておくと安心です。
・どのくらいの期間、様子を見るのか
・大きさや色に変化が出たら再診するのか
・細胞診や病理検査を行わない理由は何か
・写真やサイズの記録をもとに、変化を客観的に見られているか
経過観察そのものが悪いわけではありません。良性である可能性が高く、生活に支障が少ない場合には、定期的に確認しながら見守る選択肢もあります。
ただし、受診のサインに当てはまった場合は、再評価が必要です。説明を受けても判断に迷うときは、セカンドオピニオンとして別の動物病院に相談する方法もあります。
当院へは宇都宮市内外から、セカンドオピニオンのご相談も多く来られます。様子見が続く場合や治療を始めても改善が見られない場合は、ぜひ一度ご相談ください。
動物病院で行う検査|見た目ではなく細胞や組織で判断する
イボやできものの診察では、まず問診で発見時期、変化の速さ、既往歴、日常生活への影響などを確認します。
あわせて、視診と触診で硬さ、皮膚とのくっつき、痛み、周囲の腫れなどを丁寧に見ていきます。
見た目だけで良性・悪性を判断するのは難しいため、必要に応じて細胞診を行います。
細胞診は、細い針でできものの細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。
体への負担を抑えながら、腫瘍性の変化なのか、炎症が関係しているのかを考える手がかりになります。
ただし、細胞が十分に採れない場合や、腫瘍の種類によっては細胞診だけで確定できないこともあります。その場合は、できものの一部または全体を採取し、病理組織検査で詳しく調べます。病理組織検査では、良性か悪性か、切除した場合に取り切れているか、再発リスクがどの程度あるかを判断しやすくなります。
悪性腫瘍が疑われる場合には、画像検査や血液検査を組み合わせることもあります。転移の有無や全身状態を確認し、麻酔や手術を安全に進められるかを判断するためです。
犬や猫のイボの治療|経過観察・内科治療・手術をどう選ぶか
犬や猫のイボの治療方針は、できものの正体や状態、そして一頭一頭の状態により変わります。
<経過観察>
良性が疑われ、生活への影響が少ない場合には、経過観察を選ぶことがあります。
その際は、定期的に大きさや見た目を確認し、変化が出た時点で再評価します。記録を残しながら観察することで、必要なタイミングで検査や治療につなげやすくなります。
<内科治療>
感染や炎症が関係している場合には、内科治療を検討します。抗菌薬、外用薬、皮膚ケアなどを組み合わせ、炎症を落ち着かせる治療を行うことがあります。
ただし、腫瘍そのものを薬だけで解決できるとは限らないため、まず診断の方向性を見極めることが大切です。
<外科治療>
病状が進行している場合や将来的なリスクが大きい場合には、外科手術による切除も検討します。
たとえば、悪性腫瘍が疑われる場合、出血や痛みがある場合、犬や猫がなめて傷つけてしまう場合、まぶた・足先・口の中など生活に影響しやすい場所にある場合などです。
切除を行う際は、見えている部分だけを取ればよいとは限りません。イボの治療では、「とりあえず取る」「小さいから放っておく」といった判断ではなく、検査結果と全身状態を踏まえて選ぶことが大切です。
当院では、犬や猫への負担、再発リスク、生活への影響を総合的に考え、飼い主様へ丁寧に説明した上で治療方針を決定します。
まとめ|犬や猫のイボは、変化に気づいた段階で相談を
犬や猫のイボは、良性のできものだけとは限りません。見た目だけで判断するのは難しいため、大きさ、色、出血、痛み、増えるスピードを確認し、イボの正体を動物病院で早めに確認できると安心です。
そのためにも、日頃から愛犬・愛猫とスキンシップをとり、小さなふくらみにも早めに気付けるとよいでしょう。
当院は、整形外科と腫瘍科に注力している動物病院です。地域のホームドクターとして「ちょっと気になる」というご相談から、高度な外科手術まで幅広く対応しています。
愛犬・愛猫のイボやしこりで少しでも不安なことがあれば、いつでもお気軽にお越しください。
栃木県宇都宮市にある『さかきばら動物病院』
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