甲状腺機能亢進症は犬、猫どちらも起こりますが、特に高齢の猫で多く見られる内分泌疾患です。
甲状腺ホルモンは、体の代謝を調節する役割を持っており、ホルモンのバランスが崩れると、食欲が増えたのに体重が減る、行動が変わるなど、さまざまな症状が現れることがあります。
今回は、犬や猫に見られる甲状腺機能亢進症について説明していきます。
症状
甲状腺機能亢進症は、体を活性化させる甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
それに伴い下記のような症状が現れます。
・体重減少
・食欲亢進
・活発になる
・嘔吐
・下痢
・多飲多尿
・毛並みが悪くなる
・攻撃的になる など
原因
猫の場合、原因は完全には解明されていません。遺伝的要因、缶詰食に含まれる成分、室内飼育環境などが関係していると考えられています。
犬の場合は、主に甲状腺の腫瘍が原因になります。
診断方法
まず飼い主様から愛猫や愛犬の症状の聞き取りを行います。普段の生活の行動や性格の変化の情報を手掛かりにします。
そして、血液検査で甲状腺ホルモン(T4)の値を測定します。T4が高値であれば甲状腺機能亢進症と診断されます。
また、猫の甲状腺機能亢進症は肥大型心筋症や腎臓病とも密接にかかわっているため、これらの病気が隠れていないか、エコー検査などの画像検査も行う場合があります。
治療方法
治療方法は下記の方法が挙げられます。
・内科治療
甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を投与します。このやり方が一般的な方法であり、生涯にわたって投薬する必要があります。
・外科治療
甲状腺を手術で摘出します。
根治的な治療法で甲状腺を摘出することで甲状腺ホルモンが足りなくなる場合があるので、その場合はお薬でコントロールしていきます。
・食事療法
甲状腺ホルモンは「ヨウ素」から作られるため、ヨウ素が制限された療法食で管理します。手術や薬が基本的には必要ないというメリットがある一方、療法食以外のおやつや他の食事を基本的にはあげることができないので、厳密な管理が必要になります。また効果には個体差がありますので必ず獣医師の元で治療の選択を行うことが必要です。
予防と注意点
原因は解明されていないため完全な予防は困難です。早期発見と早期治療が大切ですので、普段から愛犬や愛猫の様子の変化に気を付けるようになるとともに、特に7歳以上の猫の場合は年1〜2回の定期健康診断を受けるようにしましょう。
また、猫の場合は治療開始後に腎臓病が顕在化することがあるので、注意深く経過を観察することが大切です。
まとめ
甲状腺機能亢進症は、特に高齢の猫によく見られる病気です。「最近元気になった」と思っても、その裏に病気が隠れている可能性があります。愛猫・愛犬の様子がいつもと違うと感じたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
ペットの健康管理について、ご不明な点やご心配なことがありましたら、いつでもご相談ください。
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