犬や猫のお腹をなでているときに、「おっぱいの近くに小さなしこりがある」と気づくことがあります。
乳頭のそばや胸からお腹にかけてできるしこりは、乳腺腫瘍の可能性があるため注意が必要です。
当院でも、最近では「愛犬にある乳腺のしこり」を気にして受診されるケースが増えています。犬では良性と悪性の両方がみられますが、猫の乳腺腫瘍は悪性の割合が高く、早い段階での確認が特に重要です。
今回は、乳腺腫瘍の傾向と早く気づくためのサイン、治療の流れまで詳しく解説します。

■目次
1.犬猫の乳腺腫瘍とは|良性と悪性で何が違う?
2.乳腺腫瘍ができやすい犬や猫の傾向|避妊手術・年齢との関係
3.飼い主様が気づきやすいサイン|しこりの場所・大きさ・増え方をチェック
4.動物病院で行う検査と治療の流れ|しこりの性質を確認するために
5.まとめ|犬や猫の乳腺のしこりは、早めの相談が大切
犬猫の乳腺腫瘍とは|良性と悪性で何が違う?
乳腺腫瘍とは、乳汁をつくる乳腺の組織に発生する腫瘍の総称です。
犬や猫の乳腺は胸からお腹、内股に近い部分まで左右に並んでいるため、乳頭のすぐ近くだけでなく、乳腺に沿った広い範囲に発生する可能性があります。一つだけ見つかることもあれば、複数の乳腺にしこりができることもあります。
良性腫瘍は周囲の組織へ広がったり、離れた臓器へ転移したりする可能性が低い腫瘍です。一方、悪性腫瘍は周囲の組織へ入り込むように増殖し、リンパ節や肺などへ転移することがあります。
犬の乳腺腫瘍は、従来、良性と悪性がおおむね半数ずつとされてきました。ただし、見た目や触り心地だけで良性・悪性を確定することはできません。
一方、猫では乳腺腫瘍の多くが悪性とされ、犬よりも一層進行や転移に注意が必要です。
「小さいから問題ない」「痛がっていないから大丈夫」とは限りません。治療の選択肢を確保するためにも、しこりの性質と広がりを早めに調べることが大切です。
乳腺腫瘍ができやすい犬や猫の傾向|避妊手術・年齢との関係
乳腺腫瘍は、中高齢のメス犬やメス猫で多く見つかります。特に避妊手術を受けていない・避妊手術を受けた時期が遅かった場合は、女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなり、発生リスクが高まると考えられています。
オスでも発生する可能性はありますが、メスと比べると少ない傾向にあります。
若い時期の避妊手術は、将来の乳腺腫瘍の発生リスクを抑える効果が期待できます。
ただし、手術に適した時期は、犬種や体格、健康状態などによって異なります。
当院では、病気の予防という観点から避妊手術のご相談にも対応していますので、実施時期に迷っている飼い主様もお声がけください。
なお、乳腺の周囲にできるしこりは、すべて乳腺腫瘍とは限りません。乳腺炎による腫れや皮膚・皮下組織のできものなど、別の病気である可能性もあります。自己判断で経過を見続けず、動物病院で確認を受けましょう。
飼い主様が気づきやすいサイン|しこりの場所・大きさ・増え方をチェック
乳腺腫瘍を早期に見つけやすくするためにも「日頃から胸やお腹に触れる習慣」をつけることをおすすめします。
犬や猫が落ち着いている抱っこ中やブラッシング中に、胸からお腹、内股に近い部分まで、左右の乳腺に沿って指の腹でやさしく触れてみてください。
しこりを見つけたときは、大きさだけでなく、数の増え方や形、硬さ、皮膚の状態にも目を向けましょう。
特に、次のような変化がある場合は、早めに動物病院へご相談ください。
✓ しこりが急に大きくなった
✓ 複数のしこりがある
✓ 表面に赤み、出血、ただれがある
✓ 触ると嫌がる
✓ しこりを気にして繰り返しなめる
また、元気や食欲の低下、咳、呼吸の変化などが伴う場合も、受診を先延ばしにしないことが大切です。
家庭では「毎月1回、頭側から尾側へ同じ順番で触る」などと決めておくと、小さな変化を比較しやすくなります。
しこりを見つけたら、定規と一緒に写真を撮ったり、気づいた日や大きさを記録したりすると、診察時の参考になります。
ただし、強く押したり、繰り返し揉んだりすることは避けましょう。
動物病院で行う検査と治療の流れ|しこりの性質を確認するために
乳腺のしこりが見つかった場合は、しこりの状態や全身への影響を確認するため、必要に応じて次のような診察・検査を行います。
問診:しこりに気づいた時期や大きさの変化、避妊手術・出産歴、体調の変化などを伺います。
身体検査:しこりの位置・大きさ・硬さ・数、皮膚との癒着、リンパ節の腫れなどを確認します。
細胞診:しこりから細胞を採取し、乳腺以外のできものや炎症との違いを調べます。ただし、良性・悪性を確定できない場合もあります。
病理組織検査:手術で摘出した組織を調べ、腫瘍の種類や良性・悪性を診断します。
画像検査:胸部レントゲン検査や腹部超音波検査などで、腫瘍の広がりや転移の有無を確認します。
血液検査:手術や麻酔に備え、全身状態を確認します。
治療は一般的に外科手術による「切除」を中心に考えられます。
しこりだけを切除するのか、周囲の乳腺を含めて切除するのかは、腫瘍の大きさや位置、数、犬と猫の違い、悪性の疑い、年齢、持病などによって異なります。
病理組織検査の結果によっては、術後の定期検査や追加治療について検討することもあります。
<さかきばら動物病院の特長>
当院では、腫瘍科の診療に力を入れ、しこりの早期発見や必要な検査・治療につなげることを大切にしています。院長は日本獣医がん学会に所属し、腫瘍診療に関する知識の習得に努めています。
「米粒ほどの小さなしこりでも受診したほうがよいのだろうか」と迷う場合も、まずはご相談ください。
腫瘍の状態だけでなく、犬や猫の年齢や全身状態、日常生活への影響なども確認し、QOLに配慮した治療方針を飼い主様と話し合いながら検討します。
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まとめ|犬や猫の乳腺のしこりは、早めの相談が大切
乳腺腫瘍は、早い段階で見つけて性質や広がりを確認することで、治療方針を立てやすくなります。特に猫では悪性の割合が高いため、小さなしこりは放置せず、すぐにご相談ください。
当院では最近、犬の乳腺腫瘍に関するご相談が増えています。「この大きさなら様子を見てもよいのか」「高齢でも手術を受けられるのか」など、状況に応じた疑問にも、診察や検査の結果をもとにお答えします。
犬や猫の胸やお腹の近くにしこりを見つけた場合は、当院へご相談ください。スタッフ一同、ご家族に寄り添う親身な対応をいたします。
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