ソファや服に毛がついたり、ブラッシングのたびに思った以上の毛が取れたりすると、「これって普通なのだろうか?」と気になっている飼い主様はいませんか?
犬や猫の抜け毛自体は珍しくありません。被毛の生え変わりによる一定の抜け毛は、自然な生理現象です。
ただし、抜ける量だけでなく、抜け方や皮膚の状態によっては、病気が隠れていることもあります。
この記事では、心配しすぎなくてよい抜け毛と、受診を考えたい脱毛の違い、そして家庭や動物病院でできるケア・治療についてわかりやすくお伝えします。

■目次
1.抜け毛が増えても心配しすぎなくてよいケース|換毛期と毛質の違い
2.病気が隠れている抜け毛とは?|見逃したくないサイン
3.犬と猫で少し違う、抜け毛のチェックポイント
4.家庭でできる抜け毛対策|掃除の工夫より前に、皮膚を観察する習慣を
5.まとめ|抜け毛は体からの小さなサインとして見る
抜け毛が増えても心配しすぎなくてよいケース|換毛期と毛質の違い
まず知っておきたいのは、季節の変わり目には抜け毛が増えやすいということです。日照時間や気温の変化に応じて、季節ごとに被毛が生え変わる時期を「換毛期(かんもうき)」と呼びます。これは、動物たちが季節の温度変化に適応するための生理的なメカニズムです。
特にダブルコートの犬では、春や秋に下毛がまとまって抜けやすく、毛のかたまりがごっそり取れることも少なくありません。短毛では細かい毛が部屋に散りやすく、長毛では毛玉として気づきやすいなど、見え方も異なってきます。
そして猫でも、古い毛が抜けて新しい毛に入れ替わる過程で抜け毛は起こります。
全体的に均一に抜けていて、皮膚に赤みや湿疹がなく、強いかゆみも見られなければ、生理的な抜け毛と考えられます。
大切なのは「たくさん抜けるか」だけでなく、「一部だけ不自然に薄くなっていないか」を見ることです。
病気が隠れている抜け毛とは?|見逃したくないサイン
一方で、次のような変化があるときは注意が必要です。
・同じ場所ばかり毛が薄くなる
・赤みやフケ、ベタつき、においがある
・しきりにかく、なめ続ける、噛む
・左右対称に薄くなる
さらに元気や食欲の変化、多飲多尿、体重の増減まで重なる場合は、皮膚だけでなく全身の病気も視野にいれましょう。
この背景としては、皮膚炎やアレルギー、ノミやマダニなどの寄生虫、細菌や真菌の感染、そしてホルモン異常など多岐にわたります。
たとえばクッシング症候群では脱毛に加えて体重増加や多飲多尿が見られることがあり、甲状腺機能低下症でも毛づやの低下や脱毛が見られます。
見た目は皮膚のトラブルに見えても、体の内側の異常が関わる場合も少なくありません。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)については、こちらをご覧ください
犬と猫で少し違う、抜け毛のチェックポイント
抜け毛が気になったときは、犬と猫で少し見方が異なります。毛の生え変わり方や、皮膚トラブルの現れ方、気になる部位にも違いがあるため、それぞれの特徴に合わせたチェックが必要です。
<犬の抜け毛で考えたいこと>
犬では、換毛期がはっきりしているタイプも多く、「季節的に増えている抜け毛」と「一部だけ目立って薄くなる脱毛」を分けて考えることが大切です。特に広い範囲で毛が薄くなる場合は、皮膚炎だけでなくホルモン異常が背景にあることもあります。
<猫の抜け毛で考えたいこと>
一方、猫の場合は実際には毛が自然に抜けているのではなく、かゆみや痛み、ストレスなどをきっかけになめ続けて、毛が短く切れたり薄く見えたりすることがあります。猫はかゆみを上手に隠すこともあるため、「赤くないから大丈夫」とは言い切れません。
このような変化も受診の一つの目安にしてください。
✓ 毛が短くそろっている
✓ 内股やお腹ばかり毛が薄い
✓ 毛玉を吐く回数が増えた
また、見た目だけでは気づきにくいこともあるので、なめる回数や部位にも目を向けてみましょう。
家庭でできる抜け毛対策|掃除の工夫より前に、皮膚を観察する習慣を
家庭でのケアとしてまず大切なのは、ブラッシングを「毛を集めるため」だけで終わらせないことです。抜け毛対策や毛玉予防に役立つのはもちろん、皮膚の赤み、湿疹、しこり、かさぶたなどに早く気づくきっかけにもなります。
同じケアでも、シャンプーは回数が多ければよいわけではありません。洗いすぎや、皮膚に合わない製品の使用で、かえって乾燥や刺激を招くこともあります。
抜け毛が気になるときほど、見た目を整えることを急がず、皮膚の状態をよく確認してからケアを選びましょう。
ノミ・マダニ予防や生活環境の清潔管理も、皮膚トラブルの予防には欠かせません。
さかきばら動物病院では、一般診療で皮膚のかゆみを含む日常の異変に幅広く対応しており、健康診断では血液検査や尿検査、画像検査を通して外見だけではわかりにくい不調の早期発見を目指しています。
また、獣医師とトリマーが連携したメディカル・トリミングを行っており、施術前後の身体チェックによって皮膚トラブルやしこりなどの異変にも気づきやすい体制です。持病がある犬や猫、高齢で体力に不安がある場合も、診察のうえで相談できます。
まとめ|抜け毛は体からの小さなサインとして見る
犬や猫の抜け毛は、季節や毛質によって増えることがあり、それだけで異常とは限りません。けれども、同じ場所ばかり薄くなる、皮膚に赤みやにおいがある、かゆみやなめる行動が続く、元気や食欲まで変わるときは、様子見だけで済ませないほうが安心です。
抜け毛は、体からの小さなサインとして現れることがあります。季節的なものか迷うときこそ、皮膚の状態や普段の行動もあわせて見てみましょう。
気になる変化が続くときは、一般診療や健康診断、必要に応じたメディカル・トリミングも活用しながら、早めに対策をしてみてはいかがでしょうか?
当院は犬や猫の皮膚や被毛のお悩みに幅広く、親身に対応いたします。
栃木県宇都宮市にある『さかきばら動物病院』
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