犬のフィラリア症について知ろう ①フィラリア症とは

犬を新しく家族に迎えたばかりの飼い主様は、必要な予防が多くて戸惑うこともあるでしょう。しかし飼い主様は、狂犬病ワクチンや混合ワクチン、ノミ・ダニ予防、フィラリア予防といった予防策を把握し、適切な時期にそれらを行うことが大切です。

今回はその中でも、フィラリア症についてどういった病気なのか、なぜ予防が必要なのかを解説していきます。

フィラリア症とは

フィラリア症は、寄生虫であるフィラリアによって引き起こされる病気のことです。
フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の吸血によって犬の血液中に入ると、犬の体内を移動しながら成虫へと成長し、肺の血管(肺動脈)や心臓(右心房や三尖弁)に寄生して、血流に影響を及ぼします。

フィラリアの成虫は、犬の体内で数年間生き続けることができ、またこの期間中に繁殖を行います。成虫から産み落とされたミクロフィラリアは血液中に存在し、別の蚊がペットを刺した際に血液と共に摂取されることで、犬から犬にうつります。

感染するとどうなるの?

フィラリアに感染した犬は、特有の症状を示すことがありますが、初期段階では症状が見られないこともあります

しかし、成虫になったフィラリアは肺動脈や心臓に寄生し、心臓の動きを弱らせたり血管を詰まらせたりします。そのため、咳や活動性の低下、呼吸困難、疲労感、体重減少などの症状を示すことがあります。

さらに症状が進行すると、重度の三尖弁逆流が発生し、大静脈症候群という深刻な状態に陥ります。そうなると、血色素尿(赤〜紅茶色の尿)や低血圧といった重大な症状を引き起こし、急死の危険性もあります

フィラリア症の診断方法

まずは聴診で心臓や肺の音を聞きます。

また、血液を採取し顕微鏡で観察することでミクロフィラリアがいるかどうかを確かめ、さらにエコーやX線検査を行い、詳しく調べます。

フィラリア症の治療方法

フィラリア症は治療が非常に難しく、一度感染してしまうと体内からフィラリアを完全に駆虫することはできません
しかし、すでに症状が出ていて、多数の寄生が確認された場合には、吊り出し法という手術でフィラリアを取り出します。

一方、症状がまだ現れていない初期段階では、長期にわたって駆虫薬を服用し、徐々にフィラリアを減らす治療が一般的に行われます。

予防法やご家庭での注意点

予防策としては、フィラリア予防薬を、決められている期間に正しく投与することです。フィラリア予防薬は、フィラリアが成虫に成長するのを防ぐために効果的であり、多くの場合、経口または外用薬として投与されます。
予防期間は地域によって違いがあるため、かかりつけの動物病院が推奨している期間は投薬を続けるようにしましょう

また毎年予防薬の投与を始める前には、必ず動物病院でその旨を申告して、フィラリアに感染していないことを確認してから飲ませてください。もしすでに感染していた場合、駆虫薬によって血液中のフィラリアの幼虫が一気に死滅することでショックを起こし、命に関わる可能性があるためです。

さらに、ペットを蚊から守るための環境管理も重要です。例えば、蚊の侵入を防ぐために家の窓やドアにネットを使用する、蚊が発生しやすい水たまりや池の周辺の清掃、蚊忌避剤の使用などの対策を行いましょう。

まとめ

犬のフィラリア症は命に関わる病気ですが、適切に予防薬を投与することで確実に防げる病気です。症状がないからといってお薬の投与をやめてしまうと、知らぬ間にフィラリア症を発症してしまう可能性もあるため、決められた投与間隔は必ず守り、確実に発症を防ぎましょう。

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